2015年の夏の保養の活動報告のファイルです。
原発事故から4年。「福島の子どもたちを放射能の心配なく大自然の中で思いっきり遊ばせたい」そんな思いから私たち杉並の有志が始めた活動も、今年ではや四回目を迎えました。
今年も多くの方々からご支援を頂き、52人の福島の親子を招待し、4泊5日の保養を無事終了することができました。
その報告会を以下のとおり開催しました。
【日時】2015年10月12日(月・祝) 開場13:30 開演14:00
【会場】杉並区立阿佐ヶ谷中学校・視聴覚室 (杉並区役所となり)
(丸の内線 南阿佐ヶ谷駅徒歩2分 JR阿佐ヶ谷駅南口徒歩7分)
【プログラム】
・今年の保養報告とビデオ上映
・福島のお母さん2人からの報告とQ&A
・矢野恵理子さん(国際環境NGO FoE Japanスタッフ )講演
「被災者支援・保養」とQ&A
福島のお母さん2人からの報告とQ&A
<Aさん>
2度目の参加で遠慮しようと思ったが、友達を誘って今年も参加した。
安心して楽しく過ごせたので、友達からも感謝された。皆さんによろしくとのことです。
子どもは卓球を教えてもらったので、福島に帰ってから、週3回卓球教室に通っている。
原発から20キロ圏内に住んでいたので、8回ほど避難した。
夫は行政の仕事なので離れることができない。現在は仮設住宅にいるが、国からは7月に帰っていいと言われた。しかし、状況は全く変わっていないし町中にイノシシなどの野生動物が歩き回り、治安も悪くなったと言われている。原発作業員が覚せい剤で逮捕されたとも聞いている。
我が家は、食料品は生協から取り寄せ、お年寄りでも買った水を飲んでいる方が多い。
学校ではプールも運動会も何事もなかったように行われており、給食にいわき米を使うことに
なって、心配だが食べさせている。
「ふたば未來学園」が隣町にできたが、同じ町から希望する子はいない。
また、小中一貫校が20キロ圏内に建設予定だが、説明会には20人しか集まらなかった。
「帰りたくても帰れない、引っ越すこともできない」という中で、心を強く持って子どもたちをたくましく育てたいと思う。2回の参加で、保養の大切さを痛感した。できれば来年も参加したい。
<Bさん>
震災後4年たち風化してきていると感じる。
3・11後、新潟・鹿児島で1年過ごした後生活が成り立たないので帰らざるを得なかった。
除染しても安心できない。川のそばは放射能が高く子どもを行かせられない。
再除染してもまだらに残っている。洗濯物は家の中に干している。
子どものおしっこから、わずかだが放射能が検出されて不安に思っている。
牛乳なども商品名だけでは判断できない。こうした生活の中で、甲状腺がんと原発の関係が気になる。小学校では、「10人に一人が将来はがんになる」などと教える場ヵ理で、もっとどのような生活をしたらいいかを教えてほしい。
屋内遊技場ができていたが、最近では屋内型から屋外型に移行してきていて不安である。調査員になって話を聞いているが、心配じゃない」という人も、帰り際に「福島だからしょうがない」と話す。このような中で、保養は貴重な機会だと思う。
★会場からの質問に答えて
Q1、若い人たちはどう考えているか?
A.1、埼玉にいたとき、「福島出身だと将来お嫁に行けない」という人がいた。
小さい子でも避難していることを言うのに戸惑いがある。
子どもたちはいろいろな話を聞いているのか「おれたちは、悪い人なの?」と言ったりする。
A2、実際に縁談がこわれた人がいる。若い人でも、「将来子どもを産むとき大丈夫かな」と話す。
Q2、被曝に対して、国が何をしてくれたのだろうと思う。チェルノブイリ法との違いが大きい。
被曝者支援法が打ち切られようとしていることについて
A1、家は建てたばかりだった。戻りたくても戻れない。
放射能だけでなく、家を直して戻っても治安が悪くて戻らない人が多い。
明かりがついている家が本当に少ない。
A2、保障はもらっていないが、条件があればもらいたい。親子で保養に行ったり、学校から保養に行けるような国の援助がほしい。
Q3、保養に行くことを周りの人に話せないということを聞くがどうか。また、鼻血の心配について
A1、私の場合は周りからとやかく言われることはない。鼻血は心配で、病院に連れて行った。出ると心配になる。周りではあまり心配していないようだ。
A2、保養に行くことは周りの人には話していない。鼻血について、うちの子は鼻にさわる癖があり、その手で土に触れるのが心配。
Q4、調査とは?
A2、福島大と広島大が調査している。内容に微妙な差がある。エコチル調査とは、妊婦(胎児)から10代後半まで、継続的に調査するもの。
(文責・小林久枝)
矢野恵理子さん(国際環境NGO FoE Japanスタッフ )講演
被災者支援・保養」とQ&A
講師矢野恵理子さん
プロフィール: 子どもの権利や不登校、障がい者等のNPOを経て企業の社会貢献部門に在籍。3.11以降、福島の子どもたちのために、何かしなくてはとFoE Japanに非常勤スタッフとして入る、現在は、被災者支援と福島ぽかぽかプロジェクトの担当。
みなさまのご協力により、2015年の夏の保養は無事に終了いたしました。